保育所は「子どもと家庭のセーフティ・ネット」

2009年11月20日 11時58分 | カテゴリー: 江東・生活者ネットワークREPORT

自治体調査からみる、江東区の待機児対策と子どもの権利

認証保育所A型(駅型)、駅に近い高架下、店舗の2階にある。集合住宅やオフィスビル、空き店舗などに整備されることが多いが、認可保育所との保育環境の格差は明らかだ。
認証保育所A型(駅型)、駅に近い高架下、店舗の2階にある。集合住宅やオフィスビル、空き店舗などに整備されることが多いが、認可保育所との保育環境の格差は明らかだ。
 都市部で特に深刻化している保育所待機児問題に対して、今年4月、「保育園を考える親の会(代表・普光院亜紀さん)」が、江東区を含む23区・首都圏主要都市・政令指定市合わせて95区市(回答は85区市)を対象に、「待機児童対策に関する自治体調査(以下調査)」を行い『報告書と提言』を公表しています。
 調査への江東区の回答を基に、追加調査を行い、江東区の待機児問題・対策の問題点を考えます。

セーフティ・ネット、問われる保育所の質の確保
 「ここ1、2年の入所申請者の傾向」を問う質問に対して、江東区は「育児休暇明け」と「保護者の心身の不調、虐待の懸念などからの措置」が増えていると答えています。「措置」の内訳は、精神疾患160件、DV20件。毎年統計をとっているわけではないが、窓口の実感とのこと。
 調査(*1)からは、ひとり親世帯の増加、保護者の心身の不調や虐待、失業など、保育所には社会の問題が投影され、「子どもと家庭のソーシャル・セーフティ・ネット」になっている実態が見えます。ますます保育の質の確保が問われます。

江東区の待機児対策、6.6人に1人が認証保育所
 2009年4月1日現在、江東区の待機児童数は312人と公表されています。しかし、認可保育所に入所申請した2647人のうち、入所できたのは1730人、4月1日に認可保育所に入所できなかった児童は917人。その内訳は、335人が認証保育所、29人がその他(保育室・グループ保育室・家庭福祉員)、196人が休職の延長、45人が自宅保育となっています。
 認証保育所数は39と、東京都62市区町村中一番多く(10月1日現在)、区は認可保育所の整備とともに認証保育所も積極的に誘致を進めており、待機児対策を認証保育所に頼っているのは明らかです。
 調査では江東区の待機児童数が、23区中3位であることも明らかにしています。

保育の質の低下を招かない「待機児対策」を
 保育所は乳幼児が生活時間の大半を過ごすところであり、その保育サービスの質を確保するために、国は児童福祉施設の最低基準を定めています。
 保育の質が問われる中、今年5月、社会保障審議会少子化対策特別部会に出された「機能面に着目した保育環境・空間に係る研究事業」報告では、子どもの発達保障の視点から、現在の最低基準は「遵守しなければならない最も低い基準」としています。
 壁に囲まれ庭もない認証保育所は、東京都独自の制度で、児童福祉法による保育に欠ける児童の保育サービスを保障するものではありません。
 江東区が認証保育所に頼る待機児対策を進める実態があるのなら、区はその質を保障する責任があります。
 増えている発達障がいや虐待など子どものさまざまな問題に対応できるよう、保育士の資質向上を図る研修を進めるとともに、子どもの発達に配慮した保育環境を向上させるための、点検と支援のしくみを整えるべきです。
 また、国は大都市に限り、条例による保育所の基準緩和を進めようとしています。
 江東ネットは、子どもの最善の利益を優先しその発達を保障する児童福祉法と子どもの権利の視点から、安易に進めるべきではないと考えます。(子ども部会)

添付ファイル